Bilibili(ビリビリ)とは?——中国Z世代の動画・コミュニティプラットフォーム
Bilibili(哔哩哔哩、ビリビリ)は2009年に設立された中国最大の動画・コミュニティプラットフォームで、ACG(アニメ・コミック・ゲーム)文化を起点に成長し、現在では中国のZ世代に最も愛されるメディアとなっている。2024年時点のMAUは3億4,100万人で、その約95.7%が35歳以下という極めて若いユーザー構成が最大の特徴だ。
Bilibiliの文化的アイデンティティは「弾幕(ダンマク)」にある。動画の再生画面上にユーザーのコメントが流れる弾幕機能は、視聴体験を集合的な「観賞会」に変え、他では得られない独自のエンゲージメントを生む。コンテンツへの深い関与と高いブランドロイヤリティが、Bilibiliを他動画プラットフォームと際立って差別化する要因となっている。
日本企業にとってBilibiliが重要な理由は、日本コンテンツへの親和性が中国SNSの中で最も高いことにある。日本のアニメ・ゲーム・音楽・伝統文化に関するコンテンツが大量に存在し、日本企業が公式コンテンツを発信すると自然なファン形成が起きやすい。また教育・旅行・ライフスタイル系の長尺動画コンテンツの受容性が高く、日本の食品・観光・製品を「ドキュメンタリー」的に紹介するアプローチが特に機能するプラットフォームだ。
ユーザー規模・属性——高学歴・高消費の中国Z世代
Bilibiliのユーザープロフィールは他のプラットフォームと大きく異なる。大卒以上の比率が78%と非常に高く、月収5,000元(約10万円)以上の層が全体の62%を占める。このため購買力が高く、ブランドへの評価が厳しい反面、一度好きになったブランドへのロイヤリティが非常に高い傾向がある。
地域分布は一線・新一線都市集中が顕著で、北京・上海・広州・深圳・成都・杭州が全体の約55%を占める。男女比は男性55%・女性45%だが、ACGコンテンツ以外の美容・ライフスタイル系では女性ユーザーの比率が逆転する。
Bilibiliユーザーの最大の特徴は「コンテンツへの深い関与」だ。1日平均視聴時間100分はDouyinに次ぐ長さで、1本あたりの視聴完了率が他プラットフォームより高い。ユーザーはコンテンツ制作者(UP主)に強いロイヤリティを持ち、好きなUP主の推薦商品を購入する「信任電商(信頼のEC)」が発達している。
主要機能・特徴
① 長尺動画・弾幕
Bilibiliの核心コンテンツは5〜30分程度の中〜長尺動画だ。弾幕コメントは視聴者の参加感を高め、動画の品質を集合的に評価する指標にもなる。日本語学習・旅行vlog・料理動画などの教育・情報系コンテンツとの親和性が極めて高い。
② UP主(ユーチューバー相当)との関係
Bilibiliのコンテンツ制作者は「UP主(アップ主)」と呼ばれ、強いファンコミュニティを持つ。UP主経由のブランドコラボは視聴者の信頼を高く獲得する反面、UP主の人格・スタイルとブランドの合致が成否を左右する。
③ ライブ配信
ゲーム実況・料理・学習ライブが人気。Douyinと比較してEC色は薄く、コミュニティとしての関係性構築に向いている。
④ 漫画・音楽・アニメ投稿
ACG発祥のプラットフォームとして、漫画・音楽・自主制作アニメのコンテンツも豊富。日本の公式アニメ・音楽コンテンツのBilibili独占配信も多い。
日本企業の活用事例
事例①:日本アニメ・ゲームブランドの公式チャンネル
大手日本ゲーム会社がBilibiliに公式チャンネルを開設し、新作ゲームPV・実況・ティザー動画を配信。ファンの弾幕コメントによる盛り上がりがSNS全体に波及し、ゲームの認知度が急速に拡大した事例がある。特に中国語字幕・吹き替え対応した公式コンテンツはロイヤリティの高いファン形成につながる。
事例②:日本旅行・観光PR
Japan National Tourism Organization(JNTO)はBilibiliに旅行vlogを定期配信し、チャンネル登録者数を急速に拡大している。「北海道絶景ドライブ」「京都路地裏探訪」など日本の「ディープな魅力」を紹介する長尺動画がBilibiliユーザーに特に刺さりやすいフォーマットだ。
事例③:日本食品・調理器具ブランド
日本の高品質調理器具・食器ブランドが、料理系UP主とのコラボ動画を制作。実際に調理しながら製品の良さを実演する形式が視聴完了率を高め、天猫ストアへの流入と購買転換に直結した事例がある。
運用の始め方
広告の種類と費用
| 広告形式 | 特徴 | 最低費用 |
|---|---|---|
| フィード広告(信息流) | タイムライン内動画広告。CPM/CPC/CPV | 5,000元〜 |
| プレロール広告(贴片) | 動画再生前・中に挿入。高視認性 | 10,000元〜 |
| ブランドコラボ(UP主スポンサード) | UP主が動画内でブランドを紹介 | 3万〜500万円 |
| BIG DAY(独占掲載日) | 特定日に複数フォーマットでブランド独占展開 | 100万元〜 |
コンテンツ戦略——Z世代に刺さる動画の作り方
- 「知識・発見」価値の提供:BilibiliユーザーはDouyinユーザーと比べて知的好奇心が高い。「知らなかった日本の〇〇」「日本人に聞いた本当のこと」など学びや発見を伴うコンテンツが高評価を得やすい。
- 誠実さ・親近感:過度に洗練されたCM的な動画よりも、リアルで誠実な紹介スタイルが好まれる。制作会社の「PR感」が強すぎると逆効果になることがある。
- コメント・弾幕との積極的な交流:視聴者コメントへの返信・ライブでのリアルタイム応答がコミュニティ形成に直結する。
- シリーズ形式:1回完結よりも「日本旅行シリーズ」「日本食文化Vol.1〜10」のようなシリーズ形式がチャンネル登録者の定着率を高める。