運営
店舗ページと日々の
販売活動を担う
広告
プラットフォーム内広告と
販促企画を動かす
CS
問い合わせと
レビュー対応
改善
売上データを見て
商品ページを修正
実務ポイント:TP会社の月次報告は、社内説明資料としてそのまま使える形に整えるのが理想です。売上報告だけでなく、利益、課題、改善案、次月予算の判断材料まで入っているかを確認しましょう。

1. TP会社とは何か

「TP会社」は、もともと淘宝(タオバオ)・天猫(Tmall)のプラットフォーム上で、出店企業に代わって店舗運営を代行する認定パートナー企業を指す言葉として使われてきました。現在では対象がTmall Globalだけでなく、JD(京東)、Douyin EC(中国版TikTokのEC)、小紅書REDの連動販売まで広がり、越境EC全般の運営代行会社を指す総称として使われています。

単なる「作業代行業者」ではなく、店舗ページの運営、広告出稿、顧客対応(CS)、在庫・物流調整、キャンペーン参加判断まで一括して担う実務パートナーという位置づけが実態に近いです。日本企業がTP会社を選ぶ際は、この役割の広さを理解した上で、どこまでを任せ、どこからを自社で判断するかを最初に整理しておく必要があります。

2. 他社との違い

TP会社は、広告代理店や制作会社、貿易商社と混同されやすいですが、担う範囲が異なります。以下は代表的な違いです。

企業タイプ主な役割TP会社との違い
広告代理店プラットフォーム内広告の出稿・運用が中心。店舗運営やCS、在庫調整までは通常含まない。
制作会社商品ページ・バナー・動画の制作が中心。日々の運営や広告の予算配分までは担わない。
貿易商社輸出入・通関・国内物流の実務が中心。店舗運営やSNS連動などマーケティング機能は薄い。
TP会社店舗運営・広告・CS・在庫調整・企画参加を一括で担う。実務パートナーとして経営判断に近い提案まで行う場合がある。

3. 任せられる業務

01
店舗運営
商品ページの更新、キャンペーン設定、日々の店舗管理を行う。
02
広告運用
プラットフォーム内広告の出稿、予算配分、効果検証を担う。
03
顧客対応(CS)
問い合わせ対応、レビュー返信、クレーム一次対応を行う。
04
在庫・物流調整
保税倉庫や直送在庫の状況を見ながら販売計画を調整する。
05
キャンペーン参加判断
双11・618などの大型セールへの参加可否と条件を提案する。
06
データ分析・改善提案
売上データをもとに商品ページや価格の改善案を提示する。

ただし、任せられる業務の範囲はTP会社ごとに得意分野が異なります。広告運用に強い会社、商品ページ改善に強い会社、小紅書REDなどSNS連動に強い会社など、実際の強みを事前に確認しておくことが重要です。

4. 必要な企業

TP会社の活用が特に有効なのは、中国国内に自社拠点や現地スタッフを持たない企業、越境ECへの参入が初めてで運営ノウハウがない企業、限られた人員でプラットフォーム運営まで手が回らない企業です。逆に、すでに中国語対応できる自社チームを持ち、店舗運営のノウハウが社内に蓄積されている企業は、広告運用や制作だけを部分的に外部委託する形の方が費用対効果が高い場合もあります。

自社の体制がどちらに近いかを整理した上で、TP会社に「全面委託」するのか、「特定業務のみ委託」するのかを決めておくと、契約後のミスマッチを防ぎやすくなります。

5. 費用構造

TP会社の費用は、月額の運用手数料、売上に応じた歩合(コミッション)、広告費の実費とマージン、初期の店舗構築・制作費で構成されるのが一般的です。以下は費用構成の一般的なイメージです。

Cost Structure Image
TP会社の費用構成(イメージ)
公式統計ではなく、編集部が実務ヒアリングをもとに整理した傾向イメージです。
広告費(実費+運用マージン)
月額運用手数料
売上歩合(コミッション)
初期構築・制作費
低〜中
費用項目目安備考
月額運用手数料数十万円〜店舗規模・業務範囲で大きく変動する。
売上歩合(コミッション)売上の5〜20%程度カテゴリや契約形態により幅がある。
広告費実費+運用マージン広告予算は別途確保しておく必要がある。
初期構築・制作費数十万円〜数百万円店舗デザイン、商品ページ制作の規模で変動する。

6. 契約前の確認

01
アカウント権限
店舗アカウントの所有者・管理権限を契約前に明確にする。
02
データ所有
顧客データ・販売データの所有権と提供範囲を確認する。
03
素材の権利
制作した画像・動画の著作権と利用範囲を取り決める。
04
最低保証・歩合
固定費のみか、歩合込みかで実質負担が変わるため確認する。
05
解約・引き継ぎ
解約時のアカウント引き継ぎと猶予期間を明文化する。
06
独占条項の有無
他社併用の可否や独占契約の条件を事前に確認する。

7. 月次KPI

TP会社との関係は「任せて終わり」ではなく、月次報告をもとに継続的に改善していくことが重要です。月次報告では、売上そのものだけでなく、以下のような流れで確認するのが基本になります。

Monthly Review Flow
月次KPIレビューの流れ(イメージ)
月次報告を受け取ってから改善に反映するまでの一般的な流れです。
1
KPI収集
GMV、ROAS、CVR、レビュー件数などを確認する。
2
要因分析
目標未達の場合、広告・ページ・在庫のどこに原因があるか整理する。
3
改善提案
TP会社から次月の改善案と予算配分の提案を受ける。
4
承認・実行
自社側で改善案を承認し、次月の施策に反映する。

詳細なKPI項目の見方は、月次報告の読み解き方を扱った関連記事も参考にしてください。

8. TP会社選定で見るべき項目

01
カテゴリ実績
食品、化粧品、健康食品、雑貨、家電では運営ノウハウが違う。近いカテゴリの事例を見る。
02
広告とページ改善
広告だけ強い会社、制作だけ強い会社もある。CVR改善まで見られるか確認する。
03
CS品質
返信速度、返品対応、レビュー返信がブランド評価に直結する。対応文例を確認する。
04
レポート粒度
売上報告だけでは不十分。流入、転換、広告、競合、レビューまで見えるか確認する。
05
契約透明性
アカウント権限、データ所有、素材権利、解約時の引き継ぎを契約前に決める。
06
日本側との相性
中国側のスピードと日本側の承認フローが噛み合うか。担当者の日本語力も重要。

選定時には、会社規模や有名企業の実績だけで判断しない方が安全です。大手TP会社でも、自社カテゴリに強いとは限りません。逆に小規模でも、特定カテゴリの商品ページ改善や小紅書RED連動に強い会社もあります。重要なのは、自社の商品、価格帯、販売目標、社内体制に合っているかです。

面談時には、過去事例の売上規模だけでなく、どのような課題をどう改善したかを聞きましょう。商品ページの修正前後、広告費の使い方、レビュー改善、問い合わせ対応、イベント参加判断など、現場の改善プロセスを説明できる会社ほど信頼しやすくなります。

9. まとめ

TP会社は、中国越境ECを動かすうえで非常に重要なパートナーです。ただし、TP会社は魔法の販売代理店ではありません。商品力、価格、広告予算、在庫、ブランド方針が曖昧なまま任せても成果は出にくくなります。

日本企業は、TP会社に何を任せ、何を自社で判断するのかを先に決めるべきです。店舗運営はTP会社、ブランド方針と利益判断は自社。この分担ができるほど、中国越境ECの失敗確率は下がります。

まずは、TP会社に相談する前に、自社の商品カテゴリ、想定価格、広告予算、利益目標、在庫体制、広告表現リスク、社内承認者を整理しましょう。そのうえで、TP会社には「作業」だけでなく、月次の改善提案と経営判断に使えるレポートを求めることが大切です。

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