化粧品GMV
前年比
成長率
持ち直し
1. 2026年第1四半期の中国化粧品EC市場
2026年の中国化粧品市場は、緩やかに回復しています。添付資料では、2026年第1四半期の化粧品小売総額は1,220億元、前年同期比5.9%増と整理されています。第1四半期としては大きな水準で、需要そのものが消えたわけではありません。
一方で、ECの中身はかなり変わっています。主要ECプラットフォームの化粧品GMVは1,300億元を超え、前年同期比6.83%増。ただし、どのチャネルでも同じように伸びているわけではありません。ライブコマースで急成長してきたDouyinは伸びが鈍り、天猫はブランド公式店の信頼性を背景に持ち直しています。
出所:添付資料内データをもとに中国ビジネスナビ編集部が整理。
2. 主流EC化粧品ブランドTOP10
2026年第1四半期の主流EC化粧品ブランドTOP10を見ると、欧米系の大手ブランドが依然として強い一方、中国ブランドの存在感もはっきり出ています。ロレアル、エスティ ローダー、ランコムが上位を占める一方で、珀莱雅(Proya)が4位、韓束(Kans)が6位に入っています。
日系ブランドではSK-IIが8位に入っています。日本ブランドの信頼はまだ残っていますが、今後は「日本製だから売れる」だけでは足りません。中国ブランドが機能性、価格設計、SNS運用、商品開発スピードで追い上げているためです。
単位:億元。ピンクは中国ブランド、緑は日本発ブランドを示します。
| 順位 | ブランド | GMV | 前年同期比 | 見るべきポイント |
|---|---|---|---|---|
| 1 | L'Oreal / 欧莱雅 | 27.44億元 | 未記載 | 総合力の強い外資大手 |
| 2 | Estee Lauder / 雅诗兰黛 | 23.95億元 | +29.82% | 高価格帯の需要が残る |
| 3 | Lancome / 兰蔻 | 22.67億元 | +19.29% | 信頼と定番商品の強さ |
| 4 | Proya / 珀莱雅 | 18.91億元 | 未記載 | 中国ブランドの代表格 |
| 6 | Kans / 韩束 | 16.50億元 | 未記載 | 国産ブランドのライブEC運用力 |
| 8 | SK-II | 14.63億元 | +25.38% | 日本発高級スキンケアの代表 |
3. プラットフォーム別に見る変化
中国ECでは、同じ化粧品でも、売れ方がプラットフォームごとに違います。Douyinは動画とライブ配信で新規顧客を獲得しやすい一方、広告費や配信コストが重くなりやすい。天猫は爆発力では劣りますが、ブランド公式店、正規品保証、会員管理、リピート購入との相性があります。
添付資料では、Douyinの化粧品GMVは前年同期比+14.13%とまだ伸びています。ただし、前年と比べると成長率は10ポイント以上下がっています。つまり、Douyinは強いが、以前のように「出せば伸びる」場所ではなくなっています。
Douyinは成長継続、天猫は持ち直し、京東・淘宝はマイナス。単純に「どこが大きいか」ではなく、役割分担で見る必要があります。
4. 中国ブランドは「安い代替品」ではなくなった
以前の中国ブランドは、海外ブランドの安い代替品として見られがちでした。しかし現在は、珀莱雅、韓束、可复美、薇诺娜、毛戈平、自然堂などが、機能性、成分訴求、SNS運用、商品開発スピードで存在感を高めています。
添付資料では、上美股份(韓束の親会社)の売上高は91.78億元、前年同期比+35.12%。林清軒は24.50億元で大きく伸び、丸美生物も30億元を突破したとされています。これは、国産ブランドが低価格だけでなく、中高価格帯にも入り始めていることを示しています。
単位:億元。添付資料内の記載をもとに整理。各社の会計期間や集計範囲は異なる可能性があるため、横比較ではなく市場感の把握として見る。
TOP10だけを見ると外資優位ですが、中国ブランドは4位・6位に入り、上位の中で存在感を持ち始めています。
5. 日本企業が見るべき3つのリスク
このランキングから、日本企業が学ぶべきことは「中国市場はまだ大きい」という楽観論だけではありません。むしろ、競争の質が変わったことを見るべきです。
6. 実務では「売上」より「利益が残る構造」を見る
中国ECでは、GMVが大きくても利益が残らないことがあります。特に化粧品は、サンプル、セット販売、ライブ特価、クーポン、返品、広告費、KOL費用が重なりやすいカテゴリです。
そのため、ランキングを見る時は、順位だけでなく、次の項目を一緒に確認します。
- 実売価格と通常価格の差
- ライブ配信や大促時の値引き幅
- 広告費、KOL費、サンプル費を引いた粗利
- 天猫でのレビュー数、低評価内容、リピート導線
- 小紅書REDやDouyinから天猫へ流れているか
- 商品ページや投稿文の広告表現リスク
7. 日本企業向けの運用設計
日本企業が中国化粧品ECに取り組む場合、いきなり天猫出店や大型KOL施策に進むのではなく、段階的に確認するほうが現実的です。
8. まとめ
2026年第1四半期の中国化粧品EC市場は、まだ伸びています。ただし、勝ち方は変わりました。Douyinは伸びているものの、成長は鈍化し、天猫は公式店・信頼・リピート購入の場として持ち直しています。
中国ブランドは、安さだけでなく、機能性と運用力で上位に入るようになりました。日本企業にとっては、品質やブランドストーリーを伝えるだけでなく、中国の消費者が比較・保存・購入・再購入する導線を作ることが重要です。
ランキングは、順位を見るためのものではありません。自社がどの価格帯で、どのチャネルに入り、どの広告表現を避け、どの導線で利益を残すかを決めるための判断材料です。