1,300億元超
Q1主要EC
化粧品GMV
+6.83%
Q1主要EC
前年比
+14.13%
Douyin
成長率
+5.7%
天猫
持ち直し
この記事の読み方:添付資料内の2026年第1四半期データを、日本企業の実務担当者向けに整理しました。GMVは流通取引総額のことで、売上規模を見る参考値です。ただし、GMVが大きくても利益が残るとは限らないため、チャネル、値引き、広告費、ブランド資産を分けて見ます。

1. 2026年第1四半期の中国化粧品EC市場

2026年の中国化粧品市場は、緩やかに回復しています。添付資料では、2026年第1四半期の化粧品小売総額は1,220億元、前年同期比5.9%増と整理されています。第1四半期としては大きな水準で、需要そのものが消えたわけではありません。

一方で、ECの中身はかなり変わっています。主要ECプラットフォームの化粧品GMVは1,300億元を超え、前年同期比6.83%増。ただし、どのチャネルでも同じように伸びているわけではありません。ライブコマースで急成長してきたDouyinは伸びが鈍り、天猫はブランド公式店の信頼性を背景に持ち直しています。

図1:2026年第1四半期の市場温度
化粧品小売総額
1,220億元
前年同期比 +5.9%。市場全体は回復基調。
主要EC GMV
1,300億元超
前年同期比 +6.83%。ECはまだ伸びている。
Douyin
+14.13%
成長は続くが、前年より勢いは鈍化。
天猫
+5.7%
ブランド公式購入の場として持ち直し。

出所:添付資料内データをもとに中国ビジネスナビ編集部が整理。

2. 主流EC化粧品ブランドTOP10

2026年第1四半期の主流EC化粧品ブランドTOP10を見ると、欧米系の大手ブランドが依然として強い一方、中国ブランドの存在感もはっきり出ています。ロレアル、エスティ ローダー、ランコムが上位を占める一方で、珀莱雅(Proya)が4位、韓束(Kans)が6位に入っています。

日系ブランドではSK-IIが8位に入っています。日本ブランドの信頼はまだ残っていますが、今後は「日本製だから売れる」だけでは足りません。中国ブランドが機能性、価格設計、SNS運用、商品開発スピードで追い上げているためです。

図2:主流EC化粧品ブランドTOP10 GMV
1. L'Oreal
欧莱雅
27.44
2. Estee Lauder
雅诗兰黛
23.95
3. Lancome
兰蔻
22.67
4. Proya
珀莱雅
18.91
5. La Mer
海蓝之谜
18.87
6. Kans
韩束
16.50
7. YSL
圣罗兰
15.80
8. SK-II
日本発ブランド
14.63
9. HR
赫莲娜
13.04
10. Clarins
娇韵诗
11.92

単位:億元。ピンクは中国ブランド、緑は日本発ブランドを示します。

順位ブランドGMV前年同期比見るべきポイント
1L'Oreal / 欧莱雅27.44億元未記載総合力の強い外資大手
2Estee Lauder / 雅诗兰黛23.95億元+29.82%高価格帯の需要が残る
3Lancome / 兰蔻22.67億元+19.29%信頼と定番商品の強さ
4Proya / 珀莱雅18.91億元未記載中国ブランドの代表格
6Kans / 韩束16.50億元未記載国産ブランドのライブEC運用力
8SK-II14.63億元+25.38%日本発高級スキンケアの代表

3. プラットフォーム別に見る変化

中国ECでは、同じ化粧品でも、売れ方がプラットフォームごとに違います。Douyinは動画とライブ配信で新規顧客を獲得しやすい一方、広告費や配信コストが重くなりやすい。天猫は爆発力では劣りますが、ブランド公式店、正規品保証、会員管理、リピート購入との相性があります。

添付資料では、Douyinの化粧品GMVは前年同期比+14.13%とまだ伸びています。ただし、前年と比べると成長率は10ポイント以上下がっています。つまり、Douyinは強いが、以前のように「出せば伸びる」場所ではなくなっています。

図3:主要ECプラットフォームの成長率
Douyin
+14.13%
天猫
+5.70%
京東
-7.25%
淘宝
-13.42%

Douyinは成長継続、天猫は持ち直し、京東・淘宝はマイナス。単純に「どこが大きいか」ではなく、役割分担で見る必要があります。

Douyin認知拡大、ライブ販売、短期売上に強い。ただし広告費と値引き依存に注意。
天猫公式旗艦店、正規品保証、会員管理、リピート購入の受け皿に向く。
小紅書RED購入前の比較、口コミ、保存、指名検索を作る役割。EC前の信頼形成に使う。

4. 中国ブランドは「安い代替品」ではなくなった

以前の中国ブランドは、海外ブランドの安い代替品として見られがちでした。しかし現在は、珀莱雅、韓束、可复美、薇诺娜、毛戈平、自然堂などが、機能性、成分訴求、SNS運用、商品開発スピードで存在感を高めています。

添付資料では、上美股份(韓束の親会社)の売上高は91.78億元、前年同期比+35.12%。林清軒は24.50億元で大きく伸び、丸美生物も30億元を突破したとされています。これは、国産ブランドが低価格だけでなく、中高価格帯にも入り始めていることを示しています。

図4:中国ブランドの成長イメージ
上美股份
韓束の親会社
91.78
丸美生物
30超
林清軒
24.50

単位:億元。添付資料内の記載をもとに整理。各社の会計期間や集計範囲は異なる可能性があるため、横比較ではなく市場感の把握として見る。

図5:TOP10内の構成
外資・日本発 8
中国 2

TOP10だけを見ると外資優位ですが、中国ブランドは4位・6位に入り、上位の中で存在感を持ち始めています。

5. 日本企業が見るべき3つのリスク

このランキングから、日本企業が学ぶべきことは「中国市場はまだ大きい」という楽観論だけではありません。むしろ、競争の質が変わったことを見るべきです。

リスク1:広告費だけで売上を作るDouyinで短期売上を作れても、値引き、配信費、KOL費用で利益が残らないことがあります。
リスク2:天猫を放置する天猫は「古いEC」ではなく、公式店・正規品・会員管理の受け皿です。ブランド資産を残す場所として再評価が必要です。
リスク3:日本ブランドの説明が弱い日本製、老舗、品質だけでは差別化しにくい。成分、肌悩み、使用場面、口コミ導線まで設計する必要があります。
リスク4:広告表現の確認不足美白、シワ改善、修復、敏感肌、医療的な印象を与える表現は、商品ページやKOL投稿でも確認が必要です。

6. 実務では「売上」より「利益が残る構造」を見る

中国ECでは、GMVが大きくても利益が残らないことがあります。特に化粧品は、サンプル、セット販売、ライブ特価、クーポン、返品、広告費、KOL費用が重なりやすいカテゴリです。

そのため、ランキングを見る時は、順位だけでなく、次の項目を一緒に確認します。

  • 実売価格と通常価格の差
  • ライブ配信や大促時の値引き幅
  • 広告費、KOL費、サンプル費を引いた粗利
  • 天猫でのレビュー数、低評価内容、リピート導線
  • 小紅書REDやDouyinから天猫へ流れているか
  • 商品ページや投稿文の広告表現リスク
Core Point
2026年の中国化粧品ECは、トラフィックを買えば伸びる時代から、ブランド力、商品力、価格設計、広告表現、チャネル運用をまとめて見る時代に変わっています。日本企業は、出店先や広告先を決める前に、利益が残る販売構造を確認する必要があります。

7. 日本企業向けの運用設計

日本企業が中国化粧品ECに取り組む場合、いきなり天猫出店や大型KOL施策に進むのではなく、段階的に確認するほうが現実的です。

第1段階:市場確認競合、価格帯、訴求、広告表現リスクを確認する。自社商品がどの悩みに刺さるかを決める。
第2段階:SNS検証小紅書REDとDouyinで、保存される訴求、反応がある写真、検索される言葉を確認する。
第3段階:EC導線天猫、JD、Douyin EC、自社越境ECのどこを使うかを、利益と運用負荷で判断する。

8. まとめ

2026年第1四半期の中国化粧品EC市場は、まだ伸びています。ただし、勝ち方は変わりました。Douyinは伸びているものの、成長は鈍化し、天猫は公式店・信頼・リピート購入の場として持ち直しています。

中国ブランドは、安さだけでなく、機能性と運用力で上位に入るようになりました。日本企業にとっては、品質やブランドストーリーを伝えるだけでなく、中国の消費者が比較・保存・購入・再購入する導線を作ることが重要です。

ランキングは、順位を見るためのものではありません。自社がどの価格帯で、どのチャネルに入り、どの広告表現を避け、どの導線で利益を残すかを決めるための判断材料です。

データについて:本記事は、ユーザー提供資料内の2026年第1四半期ECランキング、プラットフォーム成長率、ブランドGMVの記載をもとに編集しています。各数値は推計・集計範囲の違いを含む可能性があるため、実際の参入判断では天猫、Douyin、JD、自社取得データ、第三者データをあわせて確認してください。
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