1. 自動更新の前に判断日を固定する
まず契約期間、自動更新条項、更新拒絶や条件変更の通知期限を確認し、社内の判断日を逆算します。通知期限の日に検討を始めると、数字や資産の確認が終わらないまま継続することになります。
| 確認する日 | その日までに確定すること | 責任者 |
|---|---|---|
| 社内審査開始日 | 契約、実績、未処理事項の提出依頼 | 事業責任者 |
| 条件交渉開始日 | 更新案、変更案、終了案の比較 | 契約・営業責任者 |
| 通知判断日 | 必要な通知内容と送付方法 | 契約担当者 |
| 次期開始日 | 新条件、権限、報告様式、在庫の扱い | 実務担当者 |
通知方法や法的解釈は契約書と適用法を確認します。判断に迷う場合は、契約書、取引経緯、希望する対応をそろえて専門家へ相談してください。
2. 契約義務を証拠に置き換える
「販売に努力した」「市場開拓を行った」といった説明では履行状況を比較できません。契約の条項ごとに、提出されるべき成果物、確認するデータ、未達時の扱いを並べます。
| 契約項目 | 確認する証拠 | 未確認なら止めること |
|---|---|---|
| 販売・最低実績 | 受注、出荷、返品、入金、販売先別明細 | 総額だけで達成と判定しない |
| 販売地域・チャネル | 店舗・EC・卸先一覧、出品URL、販売地域 | 許可外販売の有無を確認する |
| 価格・販促 | 実売価格、クーポン、セール、広告履歴 | 定価表だけで価格運用を評価しない |
| 報告・市場情報 | 定期報告、顧客反応、競合変化、改善提案 | 提出の有無と内容の質を分ける |
3. 売上を入金と在庫までつなげる
代理店の販売報告、自社の出荷、請求・入金、返品、現地在庫を同じ対象期間で照合します。売上が伸びても、未入金、値引き負担、返品、滞留在庫が増えていれば更新条件を変える必要があります。
販売先、SKU、実売価格、返品を分ける。
請求、控除、支払期日、未入金を照合する。
所在地、所有者、販売可能性、処理予定を確認する。
数字が一致しない場合は平均や推定で埋めず、差異の金額、原因、証憑、解消担当者を差異台帳へ残します。更新後の最初の報告では、その差異が解消されたかを確認します。
4. 地域・価格・ブランド運用の逸脱を確認する
契約で定めた地域やチャネル以外への販売、無断出品、過度な値引き、承認していない広告表現、非公式な再販先への供給がないかを確認します。問題の有無だけでなく、代理店が自ら報告し是正できる体制かも更新判断に含めます。
| 論点 | 照合方法 | 次期契約へ反映する条件 |
|---|---|---|
| 販売範囲 | 契約地域と実際の納品・出品先を比較 | 許可申請、例外承認、再販売先報告 |
| 価格運用 | 実売画面と販促承認履歴を比較 | 承認対象、報告頻度、是正手順 |
| 広告表現 | 投稿・商品ページと承認原稿を比較 | 公開前承認、緊急停止、証拠保存 |
| 第三者利用 | 再委託先、店舗、KOL、EC運営者を確認 | 再委託の申請と責任範囲 |
5. 顧客情報とデジタル資産の帰属を確認する
顧客一覧、問い合わせ履歴、EC店舗、SNSアカウント、広告アカウント、商品画像、翻訳原稿、ドメイン、商標関連資料について、所有者、管理者、アクセス権、契約終了時の返却方法を確認します。
- 自社が管理者としてアカウントへアクセスできるか
- 登録電話番号・メール・認証名義が誰のものか
- 顧客情報をどの目的・範囲で利用しているか
- 制作物の元データと利用条件を引き継げるか
- 終了時に未処理の問い合わせ・返品・保証を誰が対応するか
販売実績の根拠が提出されない、重要な未入金が説明されない、ブランド資産の管理者が不明、許可外販売が未是正の場合は、更新を前提に条件交渉を進めず、解消条件と期限を先に決めます。
6. 更新・条件変更・終了を同じ表で比較する
関係性や担当者の印象ではなく、三つの選択肢を同じ項目で比較します。更新は現状維持ではなく、確認できた問題を次期条件へ反映できる場合に選びます。
| 選択肢 | 選ぶ条件 | 決めること |
|---|---|---|
| 更新 | 実績・履行・資産管理を確認でき、継続理由が明確 | 次期目標、報告、権限、再審査日 |
| 条件変更 | 改善可能な問題があり、是正方法を合意できる | 対象地域・商品、独占範囲、承認、未達時対応 |
| 終了・切り替え | 重大な未解決事項、協力不能、継続合理性の不足 | 通知、在庫、債権、顧客対応、資産回収、移行 |
7. 更新後の最初の報告内容を契約前に決める
契約を更新した時点で、最初の報告書に何を載せるかを決めます。売上だけでなく、前期の未処理事項、差異台帳、在庫、価格・チャネル逸脱、顧客対応、次のアクションを含めます。
報告には事実、原因、提案、承認依頼を混在させず、別欄にします。自社側も承認者と回答期限を決め、代理店の報告待ちで判断が止まらない運用にします。
8. まとめ
中国販売代理店との契約更新では、契約義務を証拠に置き換え、売上を入金・返品・在庫まで照合します。販売地域、価格、広告表現、再委託、顧客情報、デジタル資産も確認し、更新・条件変更・終了を同じ基準で比較することが重要です。
未解決事項を次期へ持ち越す場合は、対象、責任者、期限、完了証拠、未達時の対応を明記します。契約更新を、過去の継続ではなく次期運営の再設計として扱います。