✨ 業界・企業研究
2026年4月27日
中国Z世代の消費トレンド2026
——2.7億人市場で日系企業が勝つための
10のキーワード
「安ければいい」は昔の話。中国のZ世代(1995〜2009年生、約2.7億人)は「理性的消費」と「情緒消費」を使い分ける複雑な消費者だ。国潮・新茶饮・ペット経済・アウトドア・IPコラボ——彼らが起こすトレンドは市場の地図を毎年塗り替える。日系企業がこの世代に刺さる商品・サービスを開発するための実践的ガイドを提供する。
Z世代人口
2.7億人
1995〜2009年生まれ(全人口の約19%)
月間可処分所得(中央値)
4,800元
都市部Z世代平均(2025年、約10万円)
国潮ブランド市場
3.2兆元
2025年推計。前年比+18%で急成長中
ライブコマース市場
4.9兆元
2025年。Z世代の購買チャネルの中心
1. 中国Z世代を理解する前提——「矛盾する消費者」
中国のZ世代は、ひとつの言葉では語れない複雑な消費者層だ。一方では「拼多多」で徹底的に安いものを探し、「毎天优惠券」でクーポンを比較する「理性的消費(精打细算)」の達人。他方では、2,000元のSnow Peakテントやポップマートのシークレットボックスに躊躇なく財布を開く「情緒消費(情绪消费)」の実践者でもある。
このダブルスタンダードの背景には、経済成長の恩恵を受けながらも就職難・住宅高騰という現実に直面した世代の合理性がある。「必需品にはコスパを求め、自分が情緒的価値を見出すものには惜しまない」——この消費原則を理解しないと、Z世代市場での製品・マーケティング設計は的外れになる。
🎯 Z世代マーケティングの大原則
「機能 × 情緒 × ストーリー」の三角形:スペックだけで売れるのは終わり。製品の背景にある物語、ブランドの哲学、「この商品を持つ自分」が描ける体験価値を提供できなければ、Z世代は選ばない。
小紅書(RED)でリサーチ、Douyinで買う:購買意思決定プロセスが従来と異なる。小紅書でKOL(インフルエンサー)の使用感や「踩雷(地雷)」情報を集め、Douyinライブで衝動的に購入するパターンが主流。
「国産 vs 外国」ではなく「品質 × 共鳴」:国潮旋風は続くが、Z世代は国産原理主義者ではない。「本当に良いもの」「自分の感性に合うもの」であれば外国ブランドも選ぶ。ただし「日本製だから」だけでは通用しない。
2. 2026年の10大トレンド
🇨🇳
TREND 01
国潮(guochao)の深化——「中国文化の再発見」
国産ブランド文化IP新中式
李寧・安踏に始まった国潮は、今や「新中式服装」「汉服」「国産コスメ」「国産ゲーム」まで拡大。単なる「安い国産」ではなく「中国の美意識・伝統への誇り」の表現として機費される。花西子の「東洋美学」コンセプトや、ゲームの原神(国内外で人気)がその象徴。
🧋
TREND 02
新茶饮(新興ティー)——「お茶」が最先端になる
CHAGEE喜茶奈雪の茶茉莉奶白
市場規模3,000億元超。茶葉本来の香りを活かしたフレッシュミルクティーが全盛。「スタバより行く」Z世代が続出。1杯15〜28元の価格帯。CHAGEEは海外展開(東南アジア・日本)でも話題。カップのデザイン・季節限定フレーバーがSNS映えを演出。
🐾
TREND 03
ペット経済——「毛の子」への惜しまない出費
ペットフードペット医療ペット服
2025年の中国ペット産業市場は6,000億元超。晩婚・少子化の中、ペットを「家族」と見なすZ世代が急増。高機能ペットフード・ペット保険・ペット専門病院への支出が膨らむ。「私より良いものを食べている」という声も。日本ブランドのペット用品(ユニ・チャーム等)に大きな商機。
🏕️
TREND 04
アウトドア・スポーツ——都市から「野」へ
露营(キャンプ)徒步(ハイキング)飞盘(フリスビー)
コロナ禍後に爆発的に普及したキャンプ・ハイキング・フリスビー文化。Snow Peak・Coleman・Patagoniaの人気が沸騰。国産アウトドアブランド(牧高笛・Toread)も急成長。「自然の中で映える写真」がSNS映えと組み合わさり、装備への投資を惜しまない層が拡大。
🪆
TREND 05
IPコラボ・盲盒(ブラインドボックス)——「集める」快楽
泡泡玛特DIMOOLabubu
Pop Mart(泡泡玛特)が牽引するブラインドボックス(盲盒)市場は900億元超。シークレットフィギュアへの「射幸性」と「コレクション欲」を刺激。Labubuはタイ・日本でも品薄状態。日本IPとのコラボ(ドラえもん・三麗鴎)も大人気。F&BブランドとのコラボBOXも定番化。
💄
TREND 06
スキンケア・美容——「成分系」と「科学美容」
成分党敏感肌防晒(日焼け止め)
「成分党(セイブン党)」と呼ばれる成分重視のZ世代。ナイアシンアミド・レチノール・ヒアルロン酸を自ら調べ、コスパと効果で選ぶ。国産コスメ(珀莱雅・薇诺娜)が飛躍的成長。日本ブランド(スキンケア分野)は「安全性・敏感肌対応・成分の透明性」で差別化できる。
🎮
TREND 07
ゲーム・コンテンツ——「沉浸式体験(没入体験)」の追求
原神黑神话:悟空剧本杀
黒神話:悟空が世界的ヒットとなり、中国産ゲームの国際競争力が証明された。オフラインでは「剧本杀(謎解き推理ゲームバー)」が急拡大。没入型エンタメ(脱出ゲーム・体験型ショップ)への需要が旺盛。日本のゲームIP・漫画・アニメは依然として強力なコンテンツ資産。
✈️
TREND 08
「特種兵旅遊」と「City Walk」——旅行スタイルの二極化
弾丸旅行街歩きインバウンド
「特種兵旅遊」は数十の観光地を48時間で回る超弾丸旅行。一方「City Walk」は一つの街をゆっくり歩いて発見する体験重視旅行。日本旅行では京都・金沢・奈良など「映える路地・寺・食」への需要が根強い。体験型・食体験・工芸体験ツアーは刺さる。
🥗
TREND 09
健康食品・機能性食品——「身体は資本」の意識高揚
保健食品胶原蛋白益生菌
睡眠サポートサプリ・コラーゲン・プロバイオティクス・ビタミン類の需要が急拡大。「内调外养(内から整えて外から美しく)」の概念が浸透。日本の機能性食品(DHC・ファンケル等)への信頼は依然高い。ただし国産機能性ブランドも急成長しており差別化が必要。
♻️
TREND 10
サステナビリティ・「断捨离」——物への関係性の変化
闲鱼(フリマ)环保二手经济
中古・フリマプラットフォーム「闲鱼(Xianyu)」が急成長。月間アクティブユーザー6億人超。「物を持つ」から「体験を買う」へのシフトも顕著。環境意識の高まりとコスパ意識が合わさり、中古品への抵抗感が大幅に低下。ラグジュアリー中古・ヴィンテージ衣類の人気も上昇。
📊 中国Z世代の消費カテゴリー別支出割合(2025年)
3. Z世代が集まるプラットフォーム——「どこで」発見し「どこで」買うか
4. 日系企業へのビジネスチャンス——Z世代市場攻略の6分野
🌸
スキンケア・敏感肌ケア
市場規模:8,000億元超(2025)
「成分の透明性」「敏感肌対応」「日本製の安全性」を訴求。小紅書での成分解説コンテンツ×KOL連携が効果的。無印良品・資生堂・花王の成功モデルが参考になる。
🐕
ペット用品・ペットフード
市場規模:6,000億元超(2025)
ユニ・チャーム(ペット用品)・いなばペットフードなど日本ブランドへの信頼は高い。「天然・無添加・安全」訴求と、ペットの「美容・健康管理」カテゴリーが特に有望。
🧸
IPコラボ・キャラクター商品
市場規模:1,500億元超(2025)
ドラえもん・三麗鴎・ポケモンなど日本IPへの根強い需要。中国現地ブランドとのコラボ(食品×日本IP・日用品×アニメキャラ)がSNSで爆発的に拡散する可能性。
🍵
食品・飲料(健康・体験型)
市場規模:食品EC 3兆元超
抹茶・和食素材(だし・醤油・みそ)への関心が増加。機能性食品(サプリ・プロバイオティクス)では「日本製」の信頼ブランドが有効。「日本の食卓体験」を売る体験型マーケティングも刺さる。
🏕️
アウトドア・スポーツ用品
市場規模:2,000億元超(2025)
Snow PeakはZ世代への浸透に成功したモデルケース。高品質・デザイン性・日本製の信頼をうまく組み合わせた。ミズノ・デサント・コロンビア(日本展開)なども中国Z世代への訴求機会あり。
🎌
訪日インバウンド体験設計
インバウンド消費:2025年で5兆円超
「爆買い」から「体験消費」へ。伝統工芸体験・料理教室・温泉・地方文化体験がZ世代の訪日旅行の目的に。小紅書・Douyinで映える体験コンテンツへの投資が集客に直結。
📊 主要プラットフォーム別Z世代利用率(%)と購買影響度
5. Z世代マーケティング実践ガイド——日系企業がやるべき5つのこと
🚀 日系企業のZ世代攻略チェックリスト
- 小紅書アカウントの整備:購買前リサーチの主戦場。製品の使い方・成分・ブランドの背景ストーリーをコンテンツ化。KOC(Key Opinion Consumer)との協力が有効。
- Douyin公式店铺(TikTok Shop中国版)の開設:ライブコマースの流れに乗る。週1〜2回のライブ配信で製品を実演販売。「试用装(お試し品)」提供とレビュー獲得が購買転換を高める。
- 「情緒価値」の言語化:「高品質」「安全」だけでは不十分。「この製品を使う自分の生活はどう変わるか」という情緒的体験価値を具体的に描くコンテンツが必要。
- 「国潮」との共存戦略:国産ブランドの台頭に対抗するのではなく、「日本×中国コラボ」「日本技術×中国デザイン」という融合型アプローチが有効なケースも増加中。
- Z世代のKOLとの長期関係構築:一過性のタイアップではなく、「このブランドを本当に好きなKOL」を育てる中長期投資。真正性(authenticity)が伝わるインフルエンサーが効果的。
まとめ——Z世代は「取り込む」対象ではなく「共創する」パートナー
中国のZ世代は、マーケターが「ターゲット」と定義した瞬間にその定義を乗り越えていく。彼らは情報感度が高く、企業の本気度と表面的なアプローチをすぐ見分ける。「Z世代向けに作った感」があふれる施策は逆効果だ。
成功している日系ブランドに共通するのは、製品の品質への真摯な投資、文化へのリスペクト、そしてSNSでのリアルな体験共有への投資だ。2.7億人のZ世代市場は、日系企業にとって脅威である国潮と向き合いながら、「本物」を届けることで必ず手が届く市場だ。
🔑 本記事のKey Takeaways
① 中国Z世代(2.7億人)は「理性的消費(コスパ追求)」と「情緒消費(体験・物語への課金)」を使い分ける複合型消費者。
② 2026年の10大トレンドは、国潮・新茶饮・ペット経済・アウトドア・IPコラボ・成分系コスメ・没入体験・旅行二極化・機能性食品・サステナビリティ。
③ 購買プロセスは「小紅書でリサーチ→Douyinライブで購買」が主流。両プラットフォームへの同時投資が不可欠。
④ 日系企業の強みが刺さる分野:スキンケア・ペット用品・IPコラボ・健康食品・アウトドア・訪日体験。
⑤ 「Z世代に売る」ではなく「Z世代と共に作る」マーケティング哲学へのシフトが、長期的ブランド構築の条件。